第15回 漢方友の会 植物観察会のご報告

                                      金匱会診療所薬剤部   津田有梨香


平成24年 5月13日(日)開催
場所:小石川植物園
参加者:37名

 お天気にも恵まれ、たくさんの方に参加して頂き、素晴らしい植物観察会となりました。
2つのグループに分かれ、講師の先生に説明して頂きながらコースをまわりました。
時期的に花の咲いている植物は少なかったのですが、緑の中で過ごす時間はとても気持ち
の良いものでした。
 植物園では時期によって観察できる植物が異なるので、色々な季節に出かけてみるのも楽しみ方
のひとつです。植物の成長の様子を観察することもできます。


 当日の様子  
   




〈小石川植物園で観察できる漢方で使用される植物の一部を紹介します〉

 
 トチュウ(杜仲)     薬用部位:樹皮

漢方では樹皮を使用しますが、写真の葉は杜仲茶の原料となります。葉を裂いた特に、糸を引くのが特徴です。
   セリバオウレン(黄連)     薬用部位:根茎

春に白い花をつけます。根茎は黄色です。写真では黄連の果実がたくさん観察できます。
 
 サンシュユ(山茱萸)     薬用部位:果肉

別名をハルコガネバナといい、春に黄色い花を咲かせます。そして秋には赤い実を結びます。写真の真ん中にまだ熟していない小さな緑色の実が確認できます。
   マオウ(麻黄)     薬用部位:地上茎

花期は初夏で、黄色い小さな花を咲かせます。今回は観察できませんでしたが、以前の観察会(2008年6月)では咲いていました。
 
 シャクヤク(芍薬)     薬用部位:根

今回の観察会では綺麗な花が咲いていました。芍薬と牡丹の花は非常に似ていますが、芍薬は草(草本植物)、牡丹は木(木本植物)なのです。そのため、牡丹はそのまま越冬しますが、芍薬は冬には地上部が枯れてしまい春にまた新芽を出します。
  オオツヅラフジ(漢防已)     薬用部位:茎及び根茎

花の季節はこれから夏にかけてで、淡緑色の小さな花をつけます。写真からも観察できる通り、葉の形が様々です。秋には果実が黒紫色に熟します。


 
 ホソバオケラ(蒼朮)     薬用部位:根茎

夏から秋にかけて白色の花をつけます。ホソバオケラの名前は、葉が細いというところから由来しています。
漢方に使用する蒼朮は精油成分を含有しており、表面に結晶を析出するものがあります。カビと勘違いされる方もいるようですが、結晶が析出しているものはむしろ良品であり、金匱会診療所でもこのような蒼朮を使用しています。
   ウイキョウ(茴香)     薬用部位:果実

夏に黄色の小さな花を多数つけます。若葉や果実は食用ハーブやスパイスとしても使用され、フェンネルという名前で知られています。茴香は精油成分を含んでおり、甘い味がします。



 
 ムラサキ(紫根)     薬用部位:根

初夏から夏にかけて白い花を咲かせます。根は名前の通り紫色で、古くから染料として用いられています。当診療所では、煎薬・紫雲膏の原料として用いています。
   テンダイウヤク(烏薬)     薬用部位:根

今回は咲いていませんでしたが、春に黄色い小さな花を咲かせます。小石川植物園には大きくて立派な天台烏薬の木がありました。
 
 ミシマサイコ(柴胡)     薬用部位:根

夏から秋にかけて黄色の小さな花をつけます。かつて、東海道を旅する旅人達が三島に立ち寄り柴胡を買っていったそうです。ミシマサイコの名前は、三島の柴胡が優れていたことに由来します。
   ヤマトリカブト(附子・烏頭)     薬用部位:塊根

猛毒のアルカロイドを含有している植物です。写真は大きく成長したヤマトリカブトのものですが、芽生えの時期は山菜として食べられるニリンソウととてもよく似ているので、誤食による中毒事故が起きています。


〜義援金について〜


 今回も入場料を参加者の方にご負担頂く代わりに、
参加者1名につき500円を当診療所が義援金として
寄付させて頂くことになっておりました。

 参加者が37名でしたので、
18,500円(500円×37名)と更にご厚意で寄付金
としてお預かりした金額を合わせた20,000円を
毎日希望奨学金に寄付させて頂きました。

 毎日希望奨学金とは、東日本大震災で保護者を
亡くした生徒や学生を支援するものです。


皆様、ご協力ありがとうございました。
 


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