漢方治療の実際
★ 胆石症
胆石症とは、胆嚢や胆管にできる石を総称していいます。
胆嚢結石の典型的な症状は、夜半から明け方にかけて起こる、強い上腹部の痛みです。
胆石があっても症状の出ない人も多く、胆石があることを知らずに一生を過ごす方もいます。
最近ではレントゲンや超音波検査などで偶然に胆石と診断される場合も多いようです。
漢方の治療は、疼痛に対して用いる薬方と、排石を促すために用いる薬方とがあります。疼痛に対して用いる薬方としては、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)や大建中湯(だいけんちゅうとう)があります。
胆石症の場合も、慢性肝炎同様、腹診上で胸脇苦満(きょうきょうくまん)を認める場合が多く、この場合は柴胡(さいこ)の配合された柴胡剤と呼ばれる薬方群を患者さんの虚実に合わせて用います。
胆石症に頻用される処方
実証 大柴胡湯(だいさいことう)
中間症 四逆散(しぎゃくさん)
小柴胡湯(しょうさいことう)
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
虚証 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
解労散(かいろうさん)
柴芍六君子湯(さいしゃくりっくんしとう)
金匱会診療所所長
山田享弘