漢方治療の実際

★ 慢性関節リウマチ

 この疾患では、初期は陽証の場合がありますが、長期間経過した慢性の場合は、そのほとんどが陰証になっています。その場合は附子剤(ぶしざい)を用いることになります。
 西洋医学での慢性関節リウマチの治療は、抗炎症剤、抗リウマチ剤、ステロイド剤などを使用することになりますが、その場合でも適切な漢方治療を併用することで、症状の軽減、新薬の減量などに効果的です。

     慢性関節リウマチの頻用処方

 実証   越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
       越婢加朮附湯(えっぴかじゅつぶとう)

 中間症  葛根加朮附湯(かっこんかじゅつぶとう)
       薏苡仁湯(よくいにんとう)
       桂枝二越婢一湯加朮附(けいしにえっぴいっとうかじゅつぶ)
       麻杏薏甘湯(加朮附)(まきょうよっかんとう)
       五積散(ごしゃくさん)
       大防風湯(だいぼうふうとう)

 虚証   桂枝芍薬知母湯(けいししゃくやくちもとう)
       甘草附子湯(かんぞうぶしとう)
       桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
       桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)
       附子湯(ぶしとう)

 以上、多くの処方を個々の症例に対して使い分けますが、この中でも第一選択的に用いられるのが、桂枝二越婢一湯加朮附で、慢性化して変形が強く、また冷えも強いような場合には、桂枝芍薬知母湯、大防風湯などを用いることになります。



                                      金匱会診療所所長
                                            山田享弘