漢方治療の実際
★ 膀胱炎
膀胱炎・尿道炎の第一選択は猪苓湯(ちょれいとう)ですが、虚実によって、また、慢性化した場合、習慣性に再発を繰り返す場合など、種々の方剤が用いられます。劇症の場合は、多くは瘀血を伴っており、大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)などが用いられます。
膀胱炎の頻用処方
猪苓湯(ちょれいとう)
膀胱炎に用いる第一選択的な処方である。排尿痛、血尿など下腹部の熱感が目標となる。
猪苓湯合四物湯(ちょれいとうごうしもつとう)
猪苓湯と四物湯の合方で、慢性化したもの、再発を繰り返すものに用いる。四物湯は胃腸が虚弱な場合は食欲不振などを起こすことがあるので注意が必要。
猪苓湯合人参湯(ちょうれいとうごうにんじんとう)
猪苓湯を用いる場合で、胃腸が虚弱で、冷えやすい場合に用いる。
清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
虚証で、胃腸虚弱があり、神経過敏による頻尿にも用いる。
大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)
瘀血があり、炎症が激しい場合、排尿痛、下腹部、尿道の灼熱感を伴う。
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
実証で、炎症が強い場合、化膿性の場合などに用いる。
金匱会診療所所長
山田享弘