漢方治療の実際
★ 慢性気管支喘息
気管支喘息は漢方でいう喘、または喘息に相当します。喘(呼吸促迫)は気滞(体内の気の運行が妨げられ、停滞するもの)であり、これに水飲(水分の代謝障害)を伴うものは、それに対応して方剤を選定します。
漢方でこの疾患を治療する場合、大きく分けて3つの薬方群、すなわち小柴胡湯を中心とした柴胡剤、小青竜湯、麻杏甘石湯などの麻黄剤、それと半夏厚朴湯などの気剤が中心的に用いられます。これら柴胡剤、麻黄剤、気剤を虚実、症状、腹証などに基づいて単方で、或いは組み合わせて用いることになります。
慢性気管支喘息の頻用処方
〔実証〕 大柴胡湯合半夏厚朴湯
越婢加半夏湯
〔虚実間証〕 麻杏甘石湯
五虎湯
小柴胡湯合半夏厚朴湯(柴朴湯)
神秘湯
小青竜湯
〔虚証〕 苓甘姜味辛夏仁湯
治喘一方(加麻黄)
〔陰証〕 麻黄細辛附子湯
桂姜棗草黄辛附湯
主にこれらの処方を用いて慢性気管支喘息の治療は行いますが、発作時には主に麻黄剤を用い、発作が落ち着いているときには、主に柴胡剤を用いて体質改善を図ります。
金匱会診療所所長
山田享弘