漢方治療の実際
★ アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎の主な症状は水様鼻汁、くしゃみ、鼻閉で、これにしばしば結膜炎や咽頭炎を併発します。
これらの症状の主な原因を漢方的に考えると、水毒(水飲)と呼ばれる水分の代謝障害が非常に多く、これには麻黄剤、利水剤が多く用いられます。
水様鼻汁が多い場合は小青竜湯が第1選択となりますが、胃腸が弱く、小青竜湯でも胃腸障害が起こるような場合は苓甘姜味辛夏仁湯などを用います。
また同様の症状でも冷えが強い場合、陰証の場合には麻黄細辛附子湯、桂姜棗草黄辛附湯などを用います。
鼻閉が強い場合で実証では麻黄湯、もう少し虚証の場合には桂枝麻黄各半湯などを用います。
アレルギー性鼻炎の頻用処方
越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)
麻黄湯(マオウトウ)
葛根湯・葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)
桂枝麻黄各半湯(ケイシマオウカクハントウ)
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)
苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)
麻黄細辛附子湯(マオウサイシンブシトウ)
桂姜棗草黄辛附湯(ケイキョウソウソウオウシンブトウ)
アレルギー性鼻炎の治療にはこれらの処方を用いる場合が多いですが、通年性の場合はこれらを継続的に用い、花粉症などの季節性の場合は症状の始まる半月くらい前から服用するとよいようです。
小児のアレルギー性鼻炎の場合は、小青竜湯などを継続的に服用していくと風邪もひきにくくなり、身体が丈夫になってゆくことがよくみられます。
余談ですが、杉花粉症などは明らかな人為的な公害であり、私も数年前から杉花粉症が発症しまして、杉を木材として使わないのならば杉林を全て伐採して広葉樹林に戻して貰いたいと切に願っている次第であります。
金匱会診療所所長
山田享弘