Q & A  〜よ く あ る 質 問〜



 初めて診察を受ける方からの質問。



 診察を受けた患者さんからよくある質問。





 どうして保険がきかないのですか?

 保険が適用する生薬は限られております。
当診療所はどこの病院にかかっても病状が思わしくない慢性病の患者さんが、日本全国から数多く来院している診療所でもあります。
ですから、当然難しい病気が多く、これを治療するには幅広い生薬の選択が必要になってきます。
 しかし、残念なことに癌に有効と思われる生薬や、治りにくい皮膚病に有効な生薬には保険が認められていない物も少なくありません。
また、保険では生薬の値段が決められてしまうため、この範囲ではより品質の高い生薬(効果・安全性・日本産・無農薬など)を使用することが難しくなります。
 このような理由により、金匱会診療所は自由診療という制限のない形を選択させていただき、漢方のみによるより高度で、安全性に優れた治療を行っております。

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 西洋医学と漢方の違いとは何ですか?

 西洋医学では病気に対して検査を行い、病因を調べ、治療方針や薬を決定します。
これに対して漢方医学では病気の人に対して、漢方独特の概念(陰陽・虚実・表裏・寒熱、気・血・水など)や診察法(四診)に基づいて治療方針を立て、『証』を診断し、薬(処方)を決定します。
 このため、西洋医学的にみて原因のはっきりしない病気や、原因は分かっていても治療法がない難治性の疾患に対しても治療を行うことが可能です。

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 西洋薬との併用はできますか?

 今日、漢方薬と西洋薬とを併用している患者さんは、かなり多いことと思われます。
しかし、小柴胡湯とインターフェロンのように併用禁忌なものや、麻黄湯とオセルタミビルのように併用有効な報告もありますので、併用にあたっては当診療所の医師又は薬剤師にご相談下さい。

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 民間薬と漢方薬の違いとは?

 最近健康ブームでクワ、カキ、ウコン、トチュウなどたくさんの薬草の名を耳にします。
皆さんの中には煎じ薬は全て漢方だと思っている方も多いことでしょう。現在のようにいろいろな情報が蔓延していますと、それも仕方のないことだと思われます。
しかし、これらの薬草は使い方の違いで漢方薬になったり、民間薬になったりします。
つまり、下痢止めにゲンノショウコ、アルコールを飲む前後にウコン、疲労回復に朝鮮人参など経験的に単純に使用するときは、たとえそれがどんな種類の薬物であろうとも民間薬になります。
 では「漢方薬」はというと、漢方を勉強している人(医師又は薬剤師など)が、特に漢方的な診断(陰陽、虚実、表裏、寒熱、気・血・水など)のもとに分量を決めて指示した場合は「民間薬」でなく「漢方薬」となります。
西洋医学、民間用法では病名で薬を決めますが漢方医学では『証』という特殊な概念で薬を決定します。
夜間急に病気になったときや、ハイキングや散歩に出て虫に刺されたりケガをしたときのように手近に薬が間に合わない場合は、近くにある植物を使って民間薬の知識を大いに利用することが出来ます。
 しかし重い病気や慢性疾患では、民間薬は効果がはっきりしないばかりか、人によって体質にあわない場合もあるので、漢方のように薬の組み合わせで、体質にあった薬を選択する方が効果が期待できますし、副作用を軽減することができます。

同じ薬材でも民間薬と漢方薬では名前が異なるものがあります。
民間薬名漢方薬名
ドクダミ十薬、重薬、魚腥草
ゲンノショウコ老鶴草 
クコ
枸杞子、地骨皮
センナ番瀉葉
ウコン姜黄

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 「証」とは何ですか?

 漢方の世界では『証』という耳慣れない言葉がありますが、例えば処方の末尾に『証』の字をつけて葛根湯証という場合には、「葛根湯の適応症である」という意味で、葛根湯を与えると治る徴候がそろっているということです。
現代医学では、例えば胃潰瘍であればそれにともなう徴候があり、これこれの徴候があるので胃潰瘍であると診断しますが、漢方の場合には葛根湯証にはこれこれの症状があるから、これこれの症状があれば葛根湯証であると診断します。
何々病と診断する代わりに何々湯証と診断する。つまり、処方名が病名の代わりになるのです。漢方の診断は治療法の診断であります。
 葛根湯証では、脈が浮いて力がある。項部から背にかけて凝る、その時によく頭痛がする。また熱のある場合には同時に悪風または悪寒(※簡単にいうと寒気)がある。しかし、汗が自然に出ることはない。以上の症状があれば病名が何であろうとも、葛根湯の適応症であるから葛根湯証と診断して、感冒でも、神経痛でも、フルンケルでも、結膜炎でも、副鼻腔炎でも、中耳炎でも、病名がつかない場合でも葛根湯を用います。
この葛根湯証が出ている場合に、仮に扁桃腺炎であるものを感冒と誤診し、リウマチなのを神経痛と誤診しても葛根湯が奏功することに変わりはありません。
 また、虚証、実証、陰証、陽証という場合の証は虚、実、陰、陽を診断するのに必要な徴候の意であり、脈証、腹証、舌証という場合の証は脈、腹、舌を特徴づける徴候を指しています。表証、裏証、半表半裏証も同じことであります。

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 漢方の特性と役割を教えて下さい。

 近年、生活・環境・食事の変化や複雑な人間関係、その他各種ストレスの増加などにより、難治性の病気が増えています。
これらの疾患は原因が特定しにくく、現代医学だけで対処することが困難な場合が少なくありません。
しかし、漢方医学では独特な概念(気・血・水・陰陽・虚実・表裏・寒熱など)に基づいて伝統的な手法(脈・舌・腹診など)によって診断を行うので、現代医学で言うところの病名や病因がはっきりしない場合でも治療を施すことが出来ます。
また、病気になる前の状態(未病)でも薬を選択することができ、健康の維持に役立つのも、漢方ならではの特徴と言えます。これから高齢化社会をむかえる日本にとって、先人がのこしてくれた大切な智恵(漢方)が益々重要な役割を担うことと思われます。

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 旅行や出張先での服用はどうすればいいですか?

 金匱会診療所は、患者さんの体質、病気などを考慮し、個々の生薬を組み合わせて、その患者さんに一番適している漢方薬を処方しておりますが、患者さんの中には旅行や出張に行かれる方、どうしても煎じられない方、簡単に飲みたい方、煎じ薬だと飲みづらい方、いつも持ち歩きたい方などもいらっしゃいます。
このような場合にも対応できるように煎じ薬の他にエキス剤(顆粒状のお薬)、丸薬なども用意してございますので、先生や受付スタッフに御相談下さい。
しかし、エキス剤や丸薬は種類も限られておりますので、煎じ薬とまったく同じ処方をお出しすることが難しい場合もございます。

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 服用時間の違いについて。

 漢方薬は特に指示がなければ食前(食事の30分前)、食間(食事と食事の間を指し、食後2〜3時間位のこと)に服用するのが一般的です。
これは空腹時の方が、薬効成分が速く腸に到達し吸収されると考えられるためです。
しかし、胃腸の弱い患者さんには食後(食事後の30分位)や食直後に服用してもらっています。
胃腸が余り丈夫でない人の場合は、せっかく薬を速く腸に到達させても、空っぽの胃や腸の負担になり悪くなってしまっては元も子もないからです。
 最近の研究では麻黄(マオウ)や附子(ブシ)などの様に、アルカロイドという激しい薬理作用の成分を含有する薬は、空腹時の方が吸収が穏やかで安全であることや、大黄(ダイオウ)、人参(ニンジン)、柴胡(サイコ)などの様に配糖体という成分を含有する薬は、腸内細菌によって代謝され下部消化管で吸収されるので、空腹時の方がより良いことが報告されています。
しかし、病気を治療する上で一番大切なことは、お薬を飲み忘れずに一日分のお薬はその日の内に服用するということです。
実際には飲み忘れたからといって、多少服用時間がずれて服用しても特に問題のないことがほとんどです。
その他、服用に関して分からないことがございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

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 服用量の違いについて。

 成人の場合では、毎日一日分のお薬を約600mlのお水で30〜40分間とろ火〜中火で煎じていただき、カスをこして出来上がった煎じ薬(約300ml)を1日2〜3回に分けて服用するのが基本となります。
 しかし、身体のすごく弱い人や感受性の高い人では1日分を2〜3日に分けて服用する場合もあります。
また、子供の服用量に対しては基本的には西洋医学と同じように年齢、体重を考慮して大人1日量に対して減じます。
具体的には15歳未満〜7歳以上は2/3量、7歳未満〜4歳以上は1/2量、4歳未満〜2歳以上は1/3量、2歳未満では1/4量以下となります。
このように考えると子供のうちは病気が成人に比べ、治りやすいだけでなく、薬用量も1/2〜1/3の場合が多く経済的ですね。

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 漢方薬を煎じる水の種類について。

 最近は健康やお茶のブームの影響もあってか、ミネラルウォーターやアルカリイオン水などの様々な水が市販されています。これらの水には現代人に不足しがちなミネラルを補ったり、消毒用塩素を含まないというメリットがあります。
しかし、残念ながらこれらの水の中には漢方薬を煎じる水として望ましくないものもあります。
水には、含有されるカルシウム・マグネシウムの量によって硬水(エビアン・ヴィッテル・コントレックスなど)と軟水(南アルプスの天然水・ボルヴィック・六甲のおいしい水など)の区別があり、特にミネラルを豊富に含む硬水やpH値の高いアルカリイオン水では漢方薬の成分の抽出が悪くなってしまいます。
 軟水のミネラルウォーターなら問題はありませんが、総合的に考えると漢方薬を煎じる水には浄水器を通した水道水が、一番手頃で宜しいと思われます。
漢方と同様にミネラルウォーターも目的によって使い分けることが大切だということですね。

 ■いろいろな水の硬度
  <軟水>
   
硬度
カルシウム
マグネシウム
ナトリウム
水道水(目標値)
10〜100
(平均値:60

硬度として規定

硬度として規定
200以下
(※ 基準値)
南アルプスの天然水
30
9.7
1.4
4.9
六甲のおいしい水
83
24.0
5.7
18.0
ボルヴィック
50
11.0
8.0
11.0

  <硬水>
  
硬度
カルシウム
マグネシウム
ナトリウム
エビアン
297.5
78.0
24.0
5.0
ヴィッテル
307.1
91.0
19.9
5.0
コントレックス
1503.5
486.0
84.0
9.1
(単位:mg/L)
   ※補足
硬度0〜60mg/L
 軟水(和食・緑茶・赤ちゃんのミルクに向く)
硬度60〜120mg/L
 中程度の硬水(洋食・紅茶に向く)
硬度120〜180mg/L
 硬水(洋食・紅茶・ミネラル補給に向く)
硬水180mg/L以上
 非常な硬水(ミネラル補給に向く)

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 煎じる水の量を教えて下さい。

 先ず、一般的な漢方薬の煎じ方を説明させていただきます。一日の煎じ薬の量が20g〜45gの患者さんが多いので、フタのない鍋や土瓶に漢方薬と約600mlの水を入れ、とろ火〜中火で30分〜40分かけて半分(約300ml)位になるように煎じてもらっています。
 しかし、患者さんによっては一日の漢方薬の量が10gだったり80gだったりします。また、葉っぱものの生薬が多かったりすると、それだけでより多くの水を吸収してしまいます。
このような場合にはそれぞれに応じて、最初に加える水の量を400mlや800mlにしてもらっています。
大切なことは薬の嵩(カサ)や煎じる環境によって、煎じる水の量を加減しても良いということです。
毎日、煎じているうちに自分の漢方薬に適した水の量が分かってくることでしょう。習うより慣れよということですね。
長く服用する際には、安全で便利な自動煎じ器がお薦めです。

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 温服(薬を温かくして飲む)と冷服について。

 漢方薬は基本的には温かくして服用するものですが、例外もございます。
 急性扁桃腺炎に使う駆風解毒湯(くふうげどくとう)という処方や歯痛・抜歯後の痛みに用いる立効散(りっこうさん)などは、一般の薬のように煎じた後、冷蔵庫や氷などで冷やして一口ずつ口に含み、患部に当たるようにゆっくり服用します。
また、つわりの際に使用する小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)も冷服の方が気持ち悪くならないようです。
急な出血の時に使う黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)なども冷ましてから服用するほうが出血が止まり易いです。
日射病・熱射病の時に用いる五苓散(ごれいさん)、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)なども冷やしたものを服用します。
 逆に必ず温服する場合は風邪や冷えが原因になって起こる病気の時です。
これは一般的な例で、その人の体質や状況が絡んでくると違ってくる場合もございます。服用法が分からない場合には、お気軽にお問い合わせ下さい。

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 子供が薬を飲んでくれません。

 漢方薬は病気を治すために力を発揮してくれますが、飲めないことにはどうすることも出来ません。
この場合は親と子の根気の勝負になります。今回は、いくつかの方法をご紹介しましょう。
 先ずは煎じ薬を冷やして飲ませてみて下さい。
駄目ならお湯や水で薄めて飲ませてみて、それでも駄目なら麦茶やその他のお茶とブレンドして飲ませてみて下さい。
また、煎じ薬をゼリーにして食べさせたりしても良いでしょう。どうしても煎じ薬は飲めないというお子さんでも粉薬は飲める(もしくはなめる)場合があります。
市販の薬を飲みやすくする服薬ゼリーやオブラートを用いたりして粉薬を飲ませても良いです。
きれいに飲めたら褒めてあげたり、ご褒美をあげることも大切です。
色々試してみてもうまくいかない場合には是非ご相談して下さい。お子さんの飲みやすい処方に変えたり、膠飴(コウイ)というアメを使ったり出来るだけのことは協力いたします。
 又、個人差はありますが、3歳以上の小児では先生側が、服用をお願い(約束)することでわりと服用してくれることが多いです。
とにかく、何故飲む必要があるのか?誰のために飲ませるのか?などこういったことを十分に理解させるには親と子と先生のコミュニケーションが一番大切です。決して安易に諦めてはいけません。諦めてしまっては、病気と闘っていることになりませんからね。

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