私が漢方医学を学ぶために矢数道明先生の診療所へお邪魔したとき、最初に驚いたのはその患者さんの多さでした。 大学で何も教えてくれない漢方医学に対して、患者さん一人一人が漢方医学に対して持っている揺るぎない信頼に、先ず驚いてしまいました。 そして、矢数先生の漢方医学に寄せる絶大な確信にも深く心を打たれました。 私の持っていた漢方医学に対する不安、危惧は第一日目に消え失せましたが、同時に中途半端な気持ちでは漢方医学は勉強できないという決心を持つことが出来ました。 それから勉強を始めましたが、分からない事ばかりです。 西洋医学、それもごく一部しか知りませんでしたが、漢方医学とはこんなにも違う医学であるとは夢にも思いませんでした。 はじめに高を括っていた面がありましたが、今思い出しても恥ずかしくなります。 西洋医学では単一の疾患には使用する薬剤は比較的狭い範囲の薬で済むことが多いですが、漢方では多くの薬を使用することがあります。 逆に一つの処方が西洋医学のいろいろな疾患に使用されることがあり、面食らうことがありました。 しかし、段々それらの事に慣れてくると、漢方は漢方独特の面白さ、意味の深さがわかりはじめ、益々興味が持てるようになりました。 現在の私は全く漢方だけで患者さんを拝見しております。 漢方には非常に優れた特色があります。勿論漢方にも短所があります。 西洋医学の良い所と漢方医学の良い所を併用することが出来る日本の医療は患者さんにとって最も良い医学だと思います。
■室賀昭三
日本東洋医学会会長を務め、現在日本東洋医学会名誉会員。
日本東洋医学会認定 漢方専門医
昭和25年東京医科歯科大学医学部卒。矢数道明先生に師事。
矢数道明先生から受け継いだ一貫堂医学の継承者のお一人。
☆担当曜日 : 火曜(13:30〜16:30)