初めて漢方の煎じ薬を飲んだとき、ほろ苦い、ドロッとした液体で、これを飲み続けるのかと不安になりました。 でも、大塚敬節先生のご指示であり、これしかないと覚悟して飲み続けました。 その頃の私は胃腸の具合が悪く、すぐ疲れて横になりたくなり、無気力でした。 自分が学んだ現代医学の内科的治療、それと中学時代から実行してきた民間療法でも、なかなか良い結果が出てきませんでした。 苦い煎じ薬を飲み、大塚先生ご指示の養生を守り続けている内に、何とか自分なりの元気が出てきました。 これなら、また医師も出来ると自信を取り戻してきました。 忘れもしない、昭和39年、東京オリンピックの年でした。 そして考えました。私と同じように、元々虚弱体質の者や、病気、怪我や手術後に虚弱になった人、あるいは年をとって虚弱になった人で、現代医学の網の目からもれている人には、日本にすばらしい伝統医学(日本漢方)が脈々と生き続けていることを知らせたいと。私が縁あったように、漢方に縁のある患者さんに漢方治療をしてあげたいと思いました。 大塚先生のお話を得て、漢方を学ばせて頂き、中将湯ビル診療所で漢方治療を担当するようになり、現在の金匱会診療所へと引き続いております。 40数年の月日は夢のようです。私が初めて漢方治療を致しました患者さんが今も元気で来られます。 100歳までお元気で診察されたK先生の患者さんが数名来院されますが、お元気なので嬉しく思います。 現代医学の大病院には大病院しか出来ない役割があります。 大切なことは人間が人間を診るという、いや、診させていただくという、血のかよった、あたたかみが漢方医術にあると思います。 至らぬ身ですが、少しでも先人にあやかりたいものです。
■藤井美樹
日本東洋医学会名誉会員
昭和22年名古屋大学医学部卒 日赤病院の内科部長を勤めた後、大塚敬節先生に師事。
その優しいお人柄から、漢方界の仏様とよばれている(?)。
漢方だけでなく民間療法にも精通している。
☆担当曜日 : 金曜(13:00〜15:00)
第2,4土曜(9:30〜11:30)
※ 新規の患者様は受け付けておりません。
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漢方コラム
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