もう30年近く前になろうかと思うが、外来を終えて3時過ぎに昼飯を食べ、病棟を回り、官舎に帰ったら、身体がだるく熱っぽい。節々は痛く、完全に風邪を引いたと思われた。 すぐに鎮痛解熱剤と抗生剤を服用したが、翌日も38度以上の熱があり、一日のノルマを果たして官舎に辿り着いた時には39度であった。 鎮痛解熱剤と抗生剤では効かないので、取り敢えず手元にあった葛根湯と麻黄湯とを服用した。 しっとりと汗をかき節々の痛みも薄らいで朝まで寝ることが出来た。 翌朝は平熱で、高速道路を1時間余りかけて運転し、羽田から後輩の結婚式に出席するため島根に行くことが出来た。 このことがあって、漢方は直ぐ効くし、打つ手のないウィルス疾患に有効ではないかと考え、独学で漢方を勉強し始めた。 結核病棟に垂れ流しの状態で入院した老人が抗結核剤と補中益気湯で元気になり歩いて退院した例、柴胡加竜骨牡蛎湯で癲癇発作が起きなくなり、脳波が正常化した例、軽い痴呆が釣藤散で正常になった例など、独学では越えられない壁を感じ、良い師匠に付きたいと思っていた矢先、偶然北京で田村仁先生から山田光胤先生をご紹介して頂いたという幸運に巡り会えた。 その後、山田先生に師事し、5年余り渋谷診療所や金匱会診療所で指導いただき、独学での時の経験がはっきりと分かるようになった。 このご縁を大切に漢方に精進したいと思っている。
■石川友章
日本東洋医学会常務理事
日本東洋医学会認定 漢方専門医
昭和45年東京慈恵会医科大学卒。昭和63年より山田光胤先生に師事。
細菌学を専攻後、内科にて感染症を研究。
大学学生時代より漢方の研究をしていたが、現在は漢方専門で診療にあたっている。
☆担当曜日 : 第2、4木曜(13:30〜16:30)
※ 平成18年6月より診察時間を変更いたしました。