ドクターのご紹介  

         
   稲木 一元

   Inaki Kazumoto
   専門科目:循環器科  
       漢方と私の出会いは高校時代でした。
 当時、カゼの後で副鼻腔炎になって、耳鼻科で治療を受けましたが、鼻づまりと頭痛が長引き、なかなか治りませんでした。そこで、漢方専門医である叔父(松田邦夫)に相談しましたところ、煎じ薬を飲んでみたらということで、初めて漢方薬を飲みました。たぶん葛根湯加川芎辛夷だろうと思います。これは、よく効きました。飲むと5分か10分で鼻づまりがとれて、すっきりしたのに驚いたのを覚えています。漢方は効くなあ、というのが実感でした。
 この時以来、漢方に興味を持つようになりました。その後、進路を決めるときにも、医者になったら漢方をやろうと思っておりました。千葉大医学部を1978年に卒業。大学には残らず、すぐに広尾の日赤医療センターに入ったのも、幅広く臨床経験を積んでから漢方に入りたいという想いからでした。日赤に5年いた後、漢方専門で開業しました。漢方薬以外は何もない環境で、やる気満々でした。まぐれあたりでもヒットを飛ばして漢方の効果を実感できたときは本当に感激しました。特発性血小板減少性紫斑病という難病が治った方(現在まで10数年再発していません)、老化による膝の変形で苦しんでいたのに漢方薬だけで痛みから解放された方、長年の喘息が驚くほど軽くなった方など、さまざまでした。
 しかし、次第に漢方だけでやろうとすることの不便さと危うさを感じるようになりました。私の漢方治療技術が未熟だったこともありましたが、それだけではなかったと思います。それは、何回か危うい患者さんに遭遇した経験からです。
 漢方治療を求めてきた方でも、どうも危険な感じがあるなと思ったときには、すぐに日赤に行ってもらうようにしていましたが、その方たちの中から、心筋梗塞、ビールス性脳炎、消化管出血など、一刻を争う重い病気のみつかることがありました。幸い、これらの患者さんの大部分は西洋医学的治療でよくなりました。今も、これらの病気を漢方薬で治療できる自信は、私にはありません。
 結局、漢方でも西洋医学でも、患者さんが健康を回復されるには何が一番よいか、これが大切ではないかと思うに至りました。当たり前のことです。言い換えますと、漢方専門医である私にとっては、どんなときに漢方を用い、どんなときに西洋医学をお勧めするのか、それが非常に重要であると考えるようになりました。今も、そう考えて毎日の診療に臨んでいます。

 
 
日本東洋医学会認定 漢方専門医
昭和53年千葉大学医学部卒
松田邦夫先生、山田光胤先生に師事。

現代医学では、循環器、呼吸器疾患を専攻。

担当曜日
火曜(9:30~12:30)