寒い冬が終わり暖かい春の風が吹き始める頃、レンギョウは美しい黄金色の花を枝いっぱいに着け庭や垣根を明るく和ませてくれます。レンギョウは中国原産のつる性の落葉低木で枝はやや方形で、灰褐色、髄は中空です。葉は対生で広卵形で先が尖っており、三枚の小葉になるものがあります。早春、葉の出る前に黄色の花を連ねて着け、萼(ガク)も花冠も四裂し、オシベは二本でメシベより短く、雌雄異花を別株で生ずる傾向があります。秋に結実しますが同じ系統内では結実しにくいので雌雄の株を密植しないと結実は少ないようです。完熟した果実は褐色で卵形、先が尖り、表面にこぶ状の突起が多く、堅く、種子に翼があります。生薬としては成熟果実を乾燥したものを連翹と称します。連翹の基源植物はモクセイ科(Oleaceae)のレンギョウ Forsythia suspensa VAHL.およびシナレンギョウ F. viridissima LINDL. で一般には前者のものが普通で、まれに後者が混入します。また、韓国産連翹はチョウセンレンギョウ F. koreana NAKAI. の果実で品質は劣るとされています。さて、連翹の用途ですが消炎、利尿、排膿、解毒の作用があり体の表面にある熱を除く働きがあるのでアトピ−性皮膚炎や各種のアレルギ−疾患に用いられます。しかし注意していただきたいことは漢方薬全般に言えることですが、薬の組み合わせによって初めて力を発揮することが出来るということです。それとその薬(連翹)を用いる証(漢方特有のもの)があるということが大切です。それには診察をして体質を見極めることが必要になります。話を元に戻しますが、連翹は新しく、大粒で、褐色のものを良品としており、当診療所では河南省のレンギョウを使用しています。 (針ヶ谷哲也) |