薬草のお話 7 |
生薬・竜眼肉はムクロジ科(Sapindaceae)のリュウガン Euphoria longana Lamarck の仮種皮です。中国の古い書物である本草綱目(ほんぞうこうもく)には竜眼(龍目)と言うは形によるものとあります。また、竜眼は別名・益智といい、これはよく人の智を益するからとあります。
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クコと言えば中華料理や薬膳料理・薬用酒など様々な形で利用されている生薬なので、ご存知の方も多いことと思われますが、当然漢方薬の一つなのです。しかし、食べたときに甘く、色もきれいなためか、薬以外での用途の方が多い生薬でもあります。
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生薬・升麻はキンポウゲ科(Ranunculaceae)のサラシナショウマ Cimicifuga simplex Wormskjord またはその他同属植物の根茎です。
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生薬・丁香はフトモモ科(Myrtaceae)の Syzygium aromaticum Merrill et Perry の花蕾を乾燥したものです。左の写真のように非常にユニークな形をした生薬ですが、スパイスとしてもクローブの別名を持ち、こちらの方が皆さんには馴染みが深いことと思われます。また。チョウジ油の原料としても知られています。
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生薬・茵陳蒿はキク科(Compositae)のカワラヨモギ Artemisia capillaris Thunberg の頭花です。秋にカワラヨモギの花穂を収穫したものが茵陳蒿ですが、春に若い嫩葉(ドンヨウ)を採集したものを綿茵陳と称して同様に使用します。しかし、日本薬局方では茵陳蒿のみで綿茵陳は収載されておりません。
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生薬・檳榔子はヤシ科(Palmae)のビンロウ Areca catechu Linne の種子です。檳榔の名称の由来ですが、中国の本草綱目(ほんぞうこうもく)という本には『賓と郎はいずれも貴客の称であって、稽含(けいがん)の「南方草本状」に「交、廣では、一般に貴い勝れた族客には、必ず先ずこの果を差し出すことになっていて、どうかしてこの果を供えないことがあると、甚だ禮を尽くさぬものとして感情を害する」とあるところを見ると、檳榔なる名称の意味は蓋し此に取ったものであろう』と記載されています。
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生薬・木香はキク科(Compositae)の Saussurea lappa Clarkeの根です。中国の古い薬の書物である神農本草経(しんのうほんぞうけい)には蜜香の名で収載されていますが、現在は木香(広木香)と呼ばれています。これは『木香は草類であって、蜜のような香気があるところから本来は蜜香と言ったが、沈香の中にも蜜香があるので、これを遂に誤って木香と呼ぶようになった』とあります。
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最近は杜仲茶としての方が有名になってしまいましたが、漢方薬原料生薬としての杜仲はトチュウ科(Eucommiaceae)のトチュウ Eucommia ulmoides Oliver の樹皮を用いています。この樹皮はガムのように伸びる糸を引くのが特徴(硬性植物ゴム質という)ですが、葉っぱにもこの傾向があり同様の成分によるものと考えられ、今日の杜仲茶が生まれました。しかし、漢方薬としては現在も樹皮のみを使用します。
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生薬・縮砂はショウガ科(Zingiberaceae)の Amomum xanthioides Wallich の種子の塊です。日本にも伊豆縮砂と言うものがありますが、ハナミョウガ及びアオノクマタケランの種子で、漢方では使用しません。
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木通はアケビ科(Lardizabalaceae)のアケビ Akebia quinata Decaisne 又はミツバアケビ A. trifoliata Koidzumi のつる性の茎を通例、横切りしたものです。アケビは小葉が5枚ですが、よく似た植物に3枚のミツバアケビがあります。薬効に変わりはありませんが、ミツバアケビは椅子やバスケットなど(アケビ細工)を作るのにも用いられます。
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牛蒡子は読んで字の如く、キク科(Compositae)のゴボウ Arctium lappa Linneの種子です。別名を悪実(あくじつ)または大力子(だいりきし)とも言います。牛蒡子をご存じない方は多いことでしょうが、ゴボウを知らない方はほとんどいらっしゃらないことでしょう。しかし、ゴボウの根を食べるのは日本だけの習慣のようで、昔は繊維ばかりで何の栄養もないと思われていました。ところが最近では、食物繊維は体にいいものとされ、むしろ多く摂るように心がけている人が多くなりました。
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生薬・知母はユリ科(Liliaceae)のハナスゲ Anemarrhena asphodeloides Bunge の根茎です。和名のハナスゲとは、穂状の花が淡紫色で、よく開花すると美しく、葉はスゲやススキに似ているためとされています。
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