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茯苓はアカマツまたはクロマツを伐採して4〜5年を経た土中の根に寄生しています。名前の由来は中国の古書には『茯苓は史記の亀策傳には伏霊と書いてある。蓋し松の神霊の気が伏結しているものだから伏霊といったのである。俗に苓と書くのは伝寫の誤りだ』と書かれてあります。 |
ショウガは私たちの食生活の中でなじみの深いものですが、薬としても古くから用いられていました。食品としてはシンショウガとヒネショウガがあります。薬では古くは主に生のショウガとこれを乾燥したものを用いてましたが、現在では主にショウガ Zingiber officinale Roscoe の根茎のコルク皮をはぎ乾燥したものを生姜(しょうきょう)と称して用いています。また、ショウガの根茎を蒸して乾燥したものを乾姜(かんきょう)と称し使用しています。ヒネショウガも処方によっては使用しています。しかし、生姜と乾姜の区別は土地(日本と中国)や時代によって異なりますので注意が必要です。 |
猪苓はブナ、ミズナラなどブナ科の植物やモミジ類などの根に寄生し、群生しているサルノコシカケ科(Polyporaceae)のチョレイマイタケ Polyporus umbellatus FRIES の菌核です。猪苓は別名を?豬屎(カチョシ)といいますが、これはその塊が黒くて豬屎に似ていることから名付けられたとされています。 |
麻黄はマオウ科(Ephedraceae)の Ephedra sinica Stapf, E. intermedia Schrenk et C. A. Meyer 又は E. equisetina Bunge の地上茎です。マオウからは1982年に長井長義によりエフェドリンという成分が発見されており、交感神経作用薬、鎮咳薬として有名です。マオウは現在、中国から輸出制限がされており問題とされている生薬です。トクサ科の植物の木賊(トクサ)の茎はマオウに類似しているので、かって偽和増量に使われたと云われています。 |
桑白皮はクワ科(Moraceae)のクワ Morus alba Linneのコルク層を除去した根皮です。桑白皮は漢方の古典である金匱要略(きんきようりゃく)という書物の王不留行散(おうふるぎょうさん)の条文に出てきます。 |
五味子の五味について中国の唐の時代に新修本草(しんしゅうほんぞう)を著した蘇敬(そけい)は『五味は皮と肉は甘く酸く、核中は辛く苦い。全体に鹹味(かんみ)がある。これ即ち五味が具わるものだ』と云っています。 |
ハスは昔から日本に自生している多年草で、池や沼、水田に生え、7月頃に紅色や白色の大きな美しい花を咲かせます。花が終わった後、花托が肥大し蜂の巣のようになり、この中に種子が出来ます。このため万葉の頃はハチスと呼ばれ、これが後にハチスのチが短縮されてハスになったとされています。漢方ではこの種子を蓮肉(れんにく)、又は蓮子(れんし)と称し使用します。その他にも地下茎を藕(ぐう)、地下茎の節部を藕節(ぐうせつ)、果実を蓮実(れんじつ)、種子中の胚芽を蓮芯(れんしん)、蓮の花の雄しべを蓮髭(れんしゅ)、蕾を蓮花(れんか)、花の成熟した花托を蓮房(れんぼう)、葉は荷葉(かよう)、葉柄を荷梗(かこう)、葉柄と葉を荷蔕(かてい)と呼び、それぞれ薬として用いていました。 |
釣藤鈎はアカネ科(Rubiaceae)のカギカズラ Uncaria rhynchophylla Miquel または U. sinensis Oliver またはその他近縁植物の通例、釣棘(カギ)です。 |
地黄はゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)のアカヤジオウ Rehmannia glutinasa Liboschitz var. purpurea Makino または Rehmannia glutinasa Liboschitz の根またはそれを蒸したものです。蒸した後に加工調整したものを熟地黄、そのまま乾燥したものを乾地黄、乾燥しない生のままの根を生地黄、鮮地黄といいそれぞれ使用方法が異なります。古方薬品考(こほうやくひんこう)によりますと生地黄は汁を用い、主に出血に使用されます。乾地黄、熟地黄の薬効はほぼ同じです。薬の薬性(性質)は生地黄、乾地黄が熱を取るのに対して熟地黄は体をやや温めます。一般には乾地黄、熟地黄が多く用いられております。 |
ヨクイニンと言うとピンとこない人が多いでしょうが、ハトムギなら知らない人はいないぐらい有名です。両者は同じ物で明治からハトムギと呼ばれ、それ以前はシコクムギ、チョウセンムギ、トウムギ、ヨクイと呼ばれていたそうです。ハトムギとはハトがその実を食べることから名付けられました。ハトムギは現在、様々なお茶の類に含まれています。 |
センブリは生薬名を千振といいます。これは苦みが強く、千回煎じ(振り出し)ても苦いことに由来しています。又、別名を当薬(とうやく)といい、これはまさに薬であるの意で、良く効くことに由来しています。 |
瓜楼根はウリ科(Cucurbitaceae)のシナカラスウリ(トウカラスウリ) Trichosanthes kirilowi Maximowicz, キカラスウリ Trichosanthes kirillowii Maximowicz var. japonicum Kitamura 又はオオカラスウリ Trichosanthes bracteata Voigt の皮層を除いた根のことで、これの果実を瓜楼実、種子を瓜楼仁と称し、それぞれ薬効が異なる漢方薬として使用します。日本市場での流通は輸入品のシナカラスウリが殆どです。 |