中国ではその根が珠を連ねたようで、色が黄だから名付けたとされています。
日本では中国から漢字の入らなかった古い日本ではカクマグサとかヤマクサと呼ばれていたそうです。奈良、平安の頃の学者、文化人は全ての呼び名に漢字を与えないと権威がないように考えて、中国で言う黄連がカクマグサと同じであるとみました。
日本産はキンポウゲ科(Ranunclaceae)のオウレン Coptis japonica (THUNB.) MAKINON 又はその他同属植物の根を除いた根茎で、セリバオウレン C. japonica M. var. dissecta Nakai, コセリバオウレン C. japonica M. var. major Satake, キクバオウレン C. japonica M. var. japonica Satake に分類されます。中国では C. chinensis Franch, C. deltoidea C. Y. Cheng, C. omeiensis C. Y. Chengなどがあります。 黄連は消炎性苦味健胃鎮静薬として充血または炎症があって、心中煩し(落ち着かない)、動悸し、精神不安、心下部(胃)の痞え(つかえ)、吐下、腹痛、出血などの症状をあらわすものに応用します。
黄連の含まれる代表処方は黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、黄連湯(おうれんとう)、三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)、竹茹温膽湯(ちくじょうんたんとう)などが有ります。
黄連は内部が充実し、苦味の強いもの、内部の鮮黄色がより強いものが良く、日本産を良品とします。
黄連の産地は日本では福井、兵庫、鳥取、石川、岐阜県(全て栽培品)、中国では四川、湖北、陝西、甘粛、貴州省(以上は栽培品)、四川、雲南省(野生品)であります。
(針ヶ谷哲也) |