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類似の諺に「濡れ手で粟」があります。 濡れ手で粟を掴むと、粟粒が手にくっついて沢山掴める。苦労しないで多くの利益を得る事をいいます。 粟は五穀(米・麦・黍・粟・豆 一説に米・麦・麻・粟・豆)の一種でしたが、現在ではどのような植物なのかわからない人が多くなっているのではないでしょうか。なじみのない穀物になってきています。 漢方薬では「和剤局方」に収載されている「胃風湯」という処方(当帰 川キュウ 芍薬 人参 白朮 茯苓 桂枝 粟)に配合されています。 他の薬方では見たことがありません。 胃風湯は普段から胃腸の虚弱な人が腹を冷やしたり、胃腸型感冒で水様便、時には血液が混じる時もある激しい下利に使用されます。 |
教えを受けた弟子のほうが師よりも優れていると評判を得るという諺。 太古から多くの民族は服の色に青を好み、いろいろな植物の青色素を利用してきました。 藍色も飛鳥時代に中国から渡来したタデ科の一年生 アイの葉に含まれるインヂゴという青色色素による物で、中国の庶民の衣服、江戸時代の半纏、現代はジーンズに使用されています。 インヂゴ色相はアイ以外にも、リュウキュウアイ(キツネノマゴ科)、タイセイ(大青 アブラナ科)、タイワンコマツナギ(マメ科)に含有されていて、馬藍・セイ藍・木藍として利用されてきました。 分類状の科は違っていても、いずれもインヂゴ色素を含有している植物から作られた藍実・藍葉・青黛・大青葉・板藍根などの生薬の薬効は主に中国では、喉の痛みや腫れ、発熱性のウイルス感染症など最近ではSARSに使われています。 |
オオバコは7月から10月の時期、一本の小さな花が下部に沢山付き、穂の形になります。 秋になると、穂の上段が種子、中段が咲き終わった花、下段が盛りの花の三段階に別れて見られます。 この穂を二本とって、お互いに交差して引っ張り合いどちらが切れずに残るか競い合うのをオオバコ相撲(大葉子相撲)といいます。 このオオバコは日本全国いたるところに分布していて、日当たりの良い平地や山野などに良く見る多年草です。繁殖力極めて旺盛で、車で踏みつけられても生えていることから車前草という漢名を持っています。 方言名も蛙に関係するゲッロッパ、カエロッパ、・相撲に関係するスモトリクサ、スモトリバナ・両方に関係するヒキクサと数多くあります。 種子を車前子・全草を車前草といい、利尿・鎮咳の薬方に配合されます。 生の葉をアルミホイルに包んで火で炙り、温まったら中身を出しヤケドをしない程度の熱さのうちに患部に貼ります。化膿したにきび・腫れ物・ものもらいの外用の民間薬です。 |
ツクシは葉の変形した袴を取り除き、アク抜きして、煮物・和え物にします。 スギナは全草を乾燥してお茶代わりに飲むと、お小水の出がよくなります。 日本ではこのような使い方をしていますが、ヨーロッパではスギナの絞り汁を止血に外用し、たるんだ、汚れた皮膚に浴用に使用しています。また、フケと脂性の頭髪にスギナ茶をリンスします。など古くから東西で利用されていた様です。 「つくつくぼうし つくぼうし 何処を継いだか 当ててみろ」というわらべ歌もあります。 ツクシの語源は「継いで遊ぶ草」の意味だと言われています。 方言も沢山あり、全国には五百以上も数える事ができますので、 いかに、多くの人々に親しまれていたかがわかります。 |
蘇軾(ソショク)の詩が出典です。 蘇軾は北宋の文豪で蘇東坂のことです。 蝉がジージーと鳴くと、夏も暑く感じます。鳴くのは腹面に発音器を持つオスの蝉です。 セミは枯れ枝・枯れ木または果実に産卵し、種類によって最短で50日、最長で300日で孵化します。その後、幼虫は地中に入って植物の根から養分を吸収し、数年(アブラゼミ・ミンミンゼミは七年)、長いものになると十数年地中で過ごし、時期が来ると夕刻地上に出て、適当な場所で脱皮して成虫になります。 脱皮後の抜け殻を蝉退(蝉蛻)《センタイ(センゼイ)》といい、薬として使います。日本では主にアブラゼミ・クマゼミの抜け殻を利用します。 皮膚の痒みや湿疹などの皮膚病に薬方に配合されます。 近代中国では破傷風に慢性蕁麻疹・化膿性中耳炎などの臨床研究が報告されています。 類似の四時熟語には蛙鳴雀騒(あめいじゃくそう)・驢鳴犬吠(ろめいけんぱい)などがあります。 |
半分化粧しているからという洒落た名前です。また、夏至から半月ほど経て、葉をつけるので、半夏生の意味ともいわれます。どちらかといえば、前の説明のほうがきれいですね。 この植物は薬としては使われませんが、この仲間のドクダミは有名な民間薬として知られています。 ドクダミは東アジア一帯に分布し、日本でもあらゆる地域に見られる多年草です。 葉を踏みつけたり、揉んだりすると、独特の臭気を放つので、知っている方も多いと思います。 干した物を十薬・重薬と呼び、殆んどの民間薬の本に収載されています。 かぶれ・水虫・タムシ・おできなどの皮膚疾患に使いますが、臭気成分のデカノイルアセトアルデヒドに強い抗菌作用が有り、生の新鮮な方が効果があります。 乾燥すると、成分が飛んでしまうので、効果がなくなります。 乾燥した重薬にはフラボノイドの一種 クエルセチン・イソクエルセチン配糖体が残り、緩下・利尿・毛細血管強化作用が、あるので内用すると軽く便通があり、いつもお茶代わりに飲むと健康に良いでしょう。 |
一つは下駄の音のカッコンに掛けて玄関に沢山の下駄が並び繁盛している医者のこと。 もう一つはどんな病気でも葛根湯を投薬する医者を皮肉って言った言葉です。 しかし、この言葉には漢方の神髄の一面を表しています。 一般には肩こり葛根湯といわれますが、葛根湯は肩の凝る風邪・下利を伴う風邪・顔面神経麻痺・上腕神経痛・三叉神経痛・歯の痛み・中耳炎・顔のおできなど上部の疾患で、病気の初期に使われる薬方です。 葛根湯の主薬は葛根です。葛根は「秋の七草」の一つクズの根です。 薬になるのは根ばかりではありません。 7月末になると山野で非常に良い匂いを発散する藤の花のような紫紅色の蝶形花も酒の悪酔いを覚ます薬となります。 また、つるは非常に丈夫で葛布などに織り、上代では庶民の主要な医療でした。現在でも静岡県の掛川付近、石川県石川郡などにその業があると聞いております。 葛根からは食用として葛粉をとり、葛湯や葛切りなどを作ります。 吉野の葛粉は有名ですが、葛粉と称して、一般に売られているのは、殆んどがジャガイモの澱粉だとも聞いております。 |
トラジとは桔梗のことです。 韓国では昔から桔梗を健康に良い山菜として、スープや漬物にして食しています。 桔梗の根は繊維質で、ビタミン・鉄分が豊富にあり、その他キキョウサポニンが含有されています。 キキョウサポニンには去痰作用や鎮咳作用があり、痰の粘り気を取って、排出し易く致します。但し、サポニンを多量に取りすぎると、吐き気を催すことがあるので、適量をまもる必要があります。 その他、がいようで、足が疲れてだるかったり、浮腫んだり、している時に、桔梗の根を擂って潰し、ガーゼに塗り、足の裏の土踏まずを中心にそのガーゼを当て、テープなので固定しておく民間療法があります。 キキョウの根が桔(ひきしまって)で梗直(まっすぐ)なので、桔梗(きちこう→きっこう→ききょうに転化)になったとのことです。 花には白色と紫色とがありますが、花の咲く前に何色が咲くか予想できますか。緑色の茎には白色の花が、紫の茎には紫色の花が咲くといわれます。 一度観察をして下さい。 |
「芝蘭」の「芝」は霊芝または香りの強い白シ(シはくさかんむりに止)のことをいい、「蘭」はフジバカマ。ともに香りの高い香草で、その香りの中に長くいると、知らず知らずのうちに、それに自分が同化していくことを言います。 フジバカマは花の色が藤色(または淡紅紫色)で、花弁が筒状。袴のように見えるので、フジバカマ(藤袴)と名づけられました。 キク科の多年草で奈良時代に中国から渡来し帰化した植物で、秋の七草の一つです。 乾燥して生乾きのとき、桜餅のような甘い良い香りがするのはクマリン・クマリン酸のためです。 乾燥した葉・茎10gを1日量として、煎じて飲むと喉の渇きを止めるので、糖尿病に効く民間薬だといわれています。 蘭の字は群がって立ち並ぶ草のことを言います。 蘭草(フジバカマ)は関東・中部・四国・九州、朝鮮、中国に分布し、川の土手などに野生していましたが、最近は非常に目に付く事が少なくなりました。 |
その中の真中の七五三をとった物ですが、3歳は「髪置(カミオキ)」、5歳は「袴着(ハカマギ)」、7歳は「帯解(オビトキ)」の儀式を行っていましたが、現在ではこうした儀式は無くなり、通常、男子は5歳と7歳、女子は3歳と7歳に当る年の11月15日に氏神様に成長を祝して参詣する行事をなりました。 その行事の時に「千歳飴」を縁起物といて買います。 千歳飴は水あめを煮つめて、紅白に染め分けて、細長く引いた棒飴を松竹梅・鶴亀などを彩色・印刷した長い化粧袋にいれてあります。 飴にはマルトース・デキストリンなどが含まれ、滋養の働きがあります。 奇しくも、飴は漢方では膠飴(コウイ)として、子供の漢方薬小建中湯に配合されます。 膠飴はうるち米か、もち米を蒸したのち、麦芽のアミラーゼを用いてデンプンを分解し、糖化させて製した飴です。軟らかいものと、固形のものがあります。 これを、他の生薬を煎じて滓を去った後に溶かして服用します。 健脾・止痛・止咳作用が有り、虚弱な子供の体質を改善し、冷えなどによる腹痛を緩和致します。 |
年越しをするときに、蕎麦を食べるのは細く長く来年もつき合うと言うことから、又金箔師が散らばっている金箔を蕎麦団子にくっ付けて集めたことから、蕎麦で金を掻き集めると言う縁起からです。 ソバはタデ科の一年草。ソバの属しているタデ科には便秘の漢方薬として、よく使われる大黄があります。ソバにも僅かに緩下作用がありますので、蕎麦をたべすぎると、便が柔らかくなります。 ソバの原産地は中央アジア若しくは中国の雲南省と言われています。 日本では信州に限らず、南部盛岡の椀子蕎麦、出雲では割子蕎麦、兵庫県の出石蕎麦など各地に自慢の蕎麦があります。 ソバの実や葉には大量にルチンやミネラルが豊富に入っていて、毛細血管を丈夫にするので、高血圧や動脈硬化の予防に適しています。 但し、ルチンは水に溶けるので、蕎麦湯は必ず飲みましょう. 世界各地でも蕎麦栽培が広がり、日本には主として中国・カナダから輸入されています。 おらが蕎麦も外国の味となってきています。 |
川キュウの末を播いても良いとも言われています。 川キュウは中国原産のセリ科の多年草 センキュウの根茎を用います。 本来はキュウキュウ(くさかんむりに弓のキュウとくさかんむりに窮のキュウ)という名称で神農本草経に記載されていますが、四川省産の者が良いと有名になったので、四川の川の字を取って川キュウとなりました。 江戸時代に薬用として、日本に渡来し、現在では主に北海道で栽培されています。 酒も漢方で使います。 川キュウや地黄が配合されている八味地黄丸などの丸薬や当帰芍薬散などの散薬を飲むときに、胃がもたれないように酒で服用します。 千金方の麻黄醇酒湯という薬は麻黄一味を冬の月に清酒で煮て、黄疸の治療に頓服します。 金匱要略には紅藍花酒という紅藍花(ベニバナ)一味を酒につけて婦人薬としています。 水で煎じるだけでは有りません。 川キュウの成分は精油で鎮痛・鎮痙・鎮静・降圧・血管拡張作用が認められ、漢方薬では婦人科・産科の配合薬として、また家庭薬としても婦人薬には必ず配合され、冷え症や不妊などの婦人の回複に、赤ん坊を待つ(松)薬として用いられています。 |