季節の組合せとして、花札の図柄にもなり、人の口にもよく登ります。
我が国では奈良時代以前、先ず薬物『漢訳名 烏梅』で梅の実が紹介され、その後ウメの木が渡来すると、文人たちにもてはやされ、万葉集に、漢詩の懐風藻に、源氏物語や紀貫之などの物語に多くの歌の題材に詠まれています。
万葉集にはウメの歌が118首、鶯との組み合わされた歌が13首。懐風藻には「春日鶯梅をもてはやす」と梅と鶯が組み合わされています。
日本の生物季節でみると、ウメの平均開花日は東京地方で1月31日から
2月10日になっており、鶯の初鳴き日は同じ東京で2月18日から3月10日の間です。
鶯は昆虫類が主食で、コガネムシやハムシガの幼虫、アリなどを食べています。
一方、ウメの花蜜を舐めて花粉運搬の手助けをするのは気温が低い時期なので種類は少ないのですが、ハナアブ、アシブトハナアブ、クロバエなどの双翅類です。
ウメと鶯の間には共生と言うような生態関係は余り無く、蜜とも縁が無くがなく、花粉の媒介にも役立っていない様です。ただ、両者は早春の使者の組み合わせとして、日本人の心の中に育っているのでしょう。
最初、薬として入って来た梅の実は古くから民間薬として豊富に使われております。
風邪には梅干を黒く焼き、熱湯を注いで熱い内にのむとよく、また梅肉エキスを食あたり、下痢。その他地方では万能薬として使っています。
果肉の酸味はクエン酸・コハク酸・リンゴ酸.酒石散などの有機酸で疲労回復・健康保持に一日1回食べるとよく、また梅酒としても好まれています。
こんな うめー 薬はありません。(小根山隆祥) |