「源氏物語」の段の小見出しに葵上,桐壺,夕顔など植物の名が使われております。その一つに末摘花があり,その段は醜女の話ですが,該当する植物の本当の名はベニバナで花を摘んでベニにすることから末摘花の別名を持っております。
エジプトなどを原産とするキク科の一年草で、6月になると花の一部の管状花が始め黄色で徐々に紅色に変わってゆく美しい花です。
紅色のカーサミン(水に不溶)と黄色のサフロールイエロー(水に溶ける)の二種の色素を含有しています。
現在,ドライフラワーにして観賞用。食品の着色料。ベニバナの種子からはべにばな油をとり、食品や医療品原料(リノール酸系)として利用されてます.
源氏物語の時代には観賞用ではなく,紅をとる花として認識されていました。
因みに,紅(クレナイ)は呉の藍でつけられました。詰まり,日本の藍に対して,中国の藍のことです.
一般に、紅花は始めサフロールイエローを水洗いして除き、灰などのアルカリ性カーサミンを抽出した後に酸性にすると紅色の沈澱(紅泥)が生成します。
これがカーサミンの組成品で、これを布地の染料に利用します。更に精製したカーサミンを化粧品に利用します。
生薬 紅花は花が紅色に変化した頃に採取乾燥して、主に婦人薬に用いられます。
現在,日本では山形県が産地として有名です.(小根山隆祥)
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