2011.6.25

西と夏負け・夏バテの漢方薬


                    
金匱会診療所薬局長 針ヶ谷哲也

 
昨年の夏は記録的な猛暑で非常に暑くて大変でしたが、今年も心配ですね。特に今年は節電問題もあるので、状況によっては昨年より深刻になってしまう可能性もあり、注意が必要です。
 さて、暑い夏のデザート(本来は果物と言いたいのですが、スイカは野菜らしいのでデザートにしました)と言って、すぐに思い浮かぶ食べ物はスイカでしょう。スイカは西瓜(薬ではセイカと読みます)として古い書物の中に記載されています。薬効には『熱を清し暑を解く、煩を除き渇を止める、小便を利す』とあり、現在で言うところの熱中症予防や夏の胃腸障害に有効だと思われます。スイカにはビタミン、カリウム、鉄分などが含まれていますが、なんと言ってもその水分量の多さが最大の特徴でしょう。
 スイカなど旬な食べ物を利用しての暑さ対策も有効ですが、疲労・食欲不振・下痢・頭痛・めまい・ふらつきなど症状が酷いときには、その人の体質や状態にあった漢方薬の服用が一番です。これらの夏負け、夏バテ症状に頻用する処方に清暑益気湯、五苓散、白虎加人参湯、補中益気湯、六君子湯、半夏瀉心湯、半夏白朮天麻湯などがあります。また、漢方薬は体調を整えて免疫力を上げますので、細菌性胃腸炎(カンピロバクター・サルモネラなど)やウイルス性胃腸炎(ノロウイルスやロタウイルスなど)などの感染症を防ぐことにもなります。体質や症状に合わせて適切な漢方薬を服用し、夏を元気に過ごしましょう。

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