漢方っていいね(心の病気の話)                                        
                             金匱会診療所 田代桂子


 山田光胤先生に教えていただくまでは、婦人科と精神科にいて、漢方薬なんてどうしようもない時に使ってみるかな?という感じで期待もせずに使ったことがありました。今もこういう先生がいるかもしれません。
 大学の仲間に会うことがありますが、「けいこちゃん、わけのわからないことをやっているなあ」と言われることがまだあります。でもこの頃は胸をはって「先生たちも勉強しんしゃい」と宣伝しています。
私の外来は何か不安を抱えた方が多いのですが、ここに来られるまでにあらゆる科を受診され、ホルモン剤、安定剤、睡眠薬、向精神薬、漢方薬などあらゆるものが出ています。
 今の医療は話せば話すほど薬が増えていくようです。医者もたくさんの患者さんを診なければならないので、大変なのです。学問的に興味のない患者さんには冷たくなるのかもしれません。
 特に大学は研究の場ですから、それを承知で患者さんも行くべきなのでしょうが、患者さんはそれを理解していないかもしれません。
たとえば思春期拒食症で婦人科に行けば、ホルモン検査や内診やらありホルモン治療が始まるかもしれませんし、心療内科、精神科などに行けばカウンセリング、安定剤、向精神薬などが出るかもしれません。
 ところが漢方専門家のいるところでは、細く冷えた体を治そうね、ということになり、きっと美味しい漢方薬が出て、少しずつ元気になり、お肌にもつやが出て、止まっていた生理もチャンと来始める。
家族も安心してうるさく言わなくなるということがよくあります。
 もちろん家族内に色々な問題が山積みになり、そのために出た症状かもしれません。
そういう問題が強そうな場合、私は迷うことなくベテランの臨床心理士に協力してもらうことにしています。そうすることにより、患者さんの不安をより早く取ることが出来るようです。
こういうことは漢方を使えるようになり始めて出来た治療です。
本当に山田光胤先生にめぐりあえて幸せでした。