漢方と美容1(肌と髪)
                         

                         
金匱会診療所薬局長 針ヶ谷哲也


 私は以前に何度か某有名化粧品メーカーから依頼を受け、『漢方と美容』と言うタイトルで講演をさせて頂いたことがあります。その際、聴講者の皆様はとても熱心で質問も多く『漢方と美容』に大変関心が深いことが感じられました。そこで今回は漢方と美容についてシリーズで取り上げたいと思います。
 
 漢方薬と美容は接点がないように感じられますが、実は大変関係が深いものなのです。先ずはじめに化粧品と漢方薬の美容への効果を比較してみますと、化粧品は外からのもので皮膚に直接作用し、漢方薬は内からのものが多く内臓からじわりじわりと間接的に作用し、どちらも肌や髪などに影響を与え、美容に大変重要な役割を果たしていると考えられます。最近では化粧品にハーブ(生薬も含まれます)の抽出液の含有されたものが多く、これらは皮膚に直接作用している生薬の効果と言うことが出来ます。
 
 漢方薬(内服)での美容に対する効果の実例を挙げてみますと、ニキビやアトピー・湿疹などの皮膚炎で悩んでいる患者さんが、漢方薬の服用で肌がすっかりきれいになった症例がたくさんあります。また、頭の中に出来る皮膚炎では抜け毛にもつながってしまいますし、ストレスによる円形性脱毛症にも漢方は大変有効的で、これも美容にとても大切なことだと思われます。これらの効果は漢方薬の炎症を抑える作用や痒みを止める作用やストレス緩和作用と考えられます。美容に関係が深い言葉にアンチエイジングがありますが、アンチエイジングとは日本語で『抗老化』『抗加齢』です。今回のような症例は間接的にアンチエイジングにつながっているとも言えます。

2011.6.17

漢方雑話に戻る